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第26回電子デバイス界面テクノロジー研究会(EDIT26)

筑波大学まとめ

第68回 応用物理学会 春季学術講演会

2021年3月16日(火)~19日(金)、ZOOMによるオンライン開催。

主な発表

① 18p-Z05-4 水素エッチングと SiO2堆積後の窒化処理を組み合わせた高品質4H-SiC/SiO2界面の形成(立木ら、京大)

京都大学が昨年報告していた、水素エッチングとSiO2堆積後の窒化処理を組み合わせた高移動度SiC MOSFET形成プロセスについての続報。著者らのグループは、酸化過程を極力排除することがSiC MOS界面における界面準位密度低減の大きな鍵となると考え、これまでに水素エッチング後に低温でSiO2を形成し、それを窒化するプロセスで高移動度を実現してきた。今回は前回の奨励賞受賞記念講演であり、界面準位低減の考え方と、前回提案された高温窒素アニールについての紹介があった。それに加えて、NOアニールによっても高移動度が実現できることが報告された。酸化膜堆積前に水素エッチングを行った試料では、エッチングを行わない場合と比較して、伝導帯端近傍における界面準位密度が大幅に低減することが分かり、SiC の熱酸化によって誘起された欠陥は、水素エッチングにより除去可能であることが示された。高温窒素アニールの場合、しきい値電圧が負の値となるノーマリオンの特性を示す。それに対してNOアニールの場合は、移動度は若干下がるものの、ノーマリオフの特性を示すことが示された。

② 18p-Z05-5 様々なボディ層ドナー密度を有する 4H-SiC(0001) pチャネルMOSFETのチャネル移動度評価(三上ら、京大)

ボディ層ドナー密度を系統的に変化させたSiC p チャネルMOSFET を評価することで、これまでに十分検討されていない、SiC pチャネルMOSFETの移動度制限機構を解析したという講演。ボディ層の実効ドナー密度をイオン注入により1015 cm-3から1018 cm-3まで変化させ、N2窒化とNO窒化の2通りのアニールを用いて4H-SiC pチャネルMOSFETを作製した。nチャネルの特性とpチャネルの特性を対比させながら、移動度を制限している機構について考察を行った。nチャネルの場合、ボディ層濃度を1015 cm-3から1018 cm-3まで増加させると、移動度は1/10程度と大幅に低下してしまう。それに対して、pチャネルの場合は、移動度の低下は1/3 程度に留まることが分かった。チャネル移動度の絶対値に関しても、p チャネルではバルク移動度の約10~15%、n チャネルではバルク移動度の約4%と大きく異なる。このような特性の違いは、伝導帯端と価電子帯端近傍の界面準位の分布の違いが一因ではないかと考察している。

③ 18p-Z05-6 リン処理を施した SiC MOSFETにおける実効移動度のボディ電位依存性(伊藤ら、京大)

SiC nチャネルMOSFETにおいては、チャネルに誘起された電子の一部のみしかキャリア輸送に寄与しないため、チャネル移動度劣化機構の解析には、MOS構造に対するホール効果測定を用いる必要があった。それに対して、今回著者らのグループは、POCl3アニールを施すことにより界面準位密度の影響を極力低減したMOSFETを作製し、電流-電圧特性から直接実効移動度を評価することを試みた。ボディ層アクセプタ密度を系統的に変化させ、リン処理を施したSiC nチャネルMOSFETを作製した。まず、リン処理を施したSiC MOSFET では、キャリアトラップの影響が十分小さく、実効移動度での評価が十分可能であることが示された。ボディ層濃度が低濃度1016 cm-3に対して、ボディ電位を変化させて移動度を調べたところ、ユニバーサルな移動度に収束した。一方、高濃度1017 cm-3の場合、ボディ電位の増加に伴って移動度が急激に低下した。チャネル電子の界面からの平均距離で整理すると、平均距離が大きい場合(3.0~4.5 nm)、移動度はほとんど変化しないのに対し、小さい場合(1.0~1.5 nm)は、移動度がドーピング密度に依らず急激に低下することが判明した。

④ 18p-Z05-7 NO窒化処理を施した SiO2/4H-SiC(11-20)界面の X線光電子分光分析(中沼ら、阪大)

これまでに著者らのグループは、Si面上に形成した酸化膜に対して傾斜エッチングを施し、XPS分析を行うことで、界面および界面近傍酸化膜中の窒素量の処理時間依存性を明らかにしてきた。一方で、NOアニール によって界面に導入される窒素の量は面方位に依存することが知られている。そこで、今回はa面上のNO 窒化膜に対して傾斜エッチングを施して作製した膜厚分布を持つ試料のXPS 分析を行った。4H-SiC a面に対して1250 ℃ で10、30、120 分間のNOアニール処理を行ったサンプルに対して、XPS分析を行った。その結果、a 面はわずか10 分間のNO 処理により、Si 面の60 分の処理と同程度の窒素原子が界面に導入されることが分かった。また、a面で120分の処理を行ったサンプルにおいては、酸化膜側での窒素量が増加している結果が得られ、その量はSi 面の場合の2 倍となることが分かった。このように、a面はNO窒化によって、より多くの窒素が取り込まれることが明らかとなった。

⑤ 18p-Z05-15 ドライおよびウェット酸化種が共存する4H-SiC/SiO2界面での反応機構の理論検討(清水ら、三重大)

SiCの熱酸化において、ドライおよびウェット酸化種が共存する場合に界面反応律速過程における酸化速度が向上することが報告されている。そこで、第一原理計算によって得られた結果に基づいて、界面反応レートを見積ることで、酸化速度の酸化条件依存性を検討した。O2分子およびウェット酸化種(H2O分子またはOH基)が共存する界面における反応経路およびエネルギー障壁を導出し、それぞれの酸化過程の反応確率の和として界面反応レートを算出した。その結果、O2分子および2 個のOH 基による反応におけるエネルギー障壁が最も低いことが明らかになった。全酸化種中におけるウェット酸化種の存在比率が0.65のときに、界面反応レートは最大となった。これは、Si 面においてO2分子および2 個のOH 基による反応が最も起こりやすいことに起因しており、2 個のOH基がO2分子と共存するためには多くのH2O分子がOH基の供給源として必要になるためと考察している。