SiCに関する技術情報

触媒基準エッチング(CARE)


触媒基準エッチング (CAtalyst-Referred Etching;; CARE) 法は砥粒レスかつ表面結晶性を崩さない研磨技術である。良好なSiCデバイス特性を得るためには結晶性を崩さず、高精度に平坦化された表面が必要不可欠である。結晶性を崩さず加工を行うためには化学的にエッチングする必要がある。しかし化学エッチングは基準となる平面を持たないため高精度に平坦化を行うことは困難である。CAREは化学的なエッチングを基準平面上でのみ起こすことで結晶性を崩さず高精度に平坦化する加工法である。SiC基板の平坦化には基準平面として白金触媒板、溶液としてフッ化水素酸が用いられる。いわゆるCMPとは異なり、砥粒は不要である。フッ化水素酸中において白金触媒板にSiC基板を接触させながら二軸回転運動を行うことでSiC基板表面が平坦化される。平坦化加工したSiC基板表面はoff角度によらず非常に平坦であり、1バイレイヤー高さのステップテラス構造が観察される。またエピタキシャル成長後や活性化アニール後に現れるステップバンチングも高能率に除去可能である。

参考文献
応用物理 77 (2008) pp. 168-171.
Materials Science Forum 600-603 (2009) pp. 835-838.

(佐野泰久)