SiCに関する技術情報
化学研磨
いわゆる研磨剤等を被加工物表面に擦り合わせることで表面の微細な凹凸を力学的作用によって除去し表面を平滑化・光沢化する機械研磨に対して、被加工物を溶解可能な化学薬品に浸漬し、その表面層を僅かに溶解することで微細な凹凸を除去する研磨方法。除去過程は純粋に化学反応によるものであり被加工物表面に加工変質層を残すことは無いが、被加工物表面に化学的に活性な欠陥等が存在するとエッチピット等をもたらし平坦性が損なわれる。一般に、金属材料表面の平滑化・光沢化技術として工業的に広く用いられ、Si等の半導体材料に対しても機械加工後の加工変質層の除去等に用いられている。SiCに対しては、常温での化学薬品による溶解が困難で、溶融KOH等を用いる必要があり、平滑化・光沢化よりも結晶欠陥の顕在化を目的とした評価方法として施される場合が多い。なお、紫外光照射や、触媒作用を援用することにより、常温下においてもSiCを化学的に溶解することは可能である。
(佐野泰久)
- 2017年8月10日
- 印刷する