SiCに関する技術情報

酸化膜信頼性


SiC MOSパワーデバイスの低抵抗化と大電流化は、必然的にデバイス構造の微細化とデバイス領域の大面積化を要求する。また、誘電率の関係から、Si MOS構造に比べ、SiC MOS構造ではゲート酸化膜電界が増大する。これらは、MOS界面特性の不安定化及びゲート酸化膜の絶縁破壊を引き起こし、デバイス寿命を低下させる。そのため、ゲート酸化膜の信頼性は、パワーデバイスの安定動作、歩留まり、長期信頼性を直接に左右する。ゲート酸化膜信頼性評価手法として、タイムゼロ絶縁破壊(TZDB)と経時絶縁破壊(TDDB)の2種類がある。また、ゲート酸化膜へのストレス印加には定電圧ストレス(ゲートリーク電流が変動)と定電流ストレス(ゲート印加電界が変動)がある。信頼性の評価指標には、絶縁破壊電界強度(EBD)や絶縁破壊時間(tBD)、絶縁破壊電荷総量(QBD)などがある。SiC MOS界面では、オフ角度やウエハ欠陥に起因する表面ラフネスなどが酸化膜信頼性を低下させることが指摘されている。

(先崎純寿)