SiCに関する技術情報
酸化膜界面あるいは酸化膜中の炭素
SiCはSiと同様に熱酸化法によりSiO2膜が形成可能であるが、その界面には高濃度の欠陥準位が存在する。酸化過程においてCOx分子の気相中への脱離などで炭素原子を消費する必要があることから、一部の炭素原子が不純物としてSiO2/SiC界面に残留することが懸念されているが、SiO2/SiC界面は急峻であり、極端な炭素含有層は存在しないというのが近年の認識である。SiO2/Si界面欠陥の主要因はSiダングリングボンドで、水素終端化が技術として確立されているのに対して、SiO2/SiC界面についてはSi-Si結合やC-C結合が欠陥準位を形成することが指摘されているものの、それ以外の欠陥も存在している可能性が高く、支配的な欠陥の特定に至っていない。SiC熱酸化膜は炭素をほとんど含まない(1017cm-3以下)が、Si熱酸化膜とは比誘電率や密度傾斜が異なることが示唆されており、COx分子の脱離の過程で膜中に酸素欠損などの欠陥を生じるなど、複雑な酸化機構がその背景にあると考えられる。
(細井卓治)
- 2017年8月10日
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