SiCに関する技術情報
貫通らせん転位(TSD : threading screw dislocation)
らせん転位とは結晶の変位方向を示すバーガースベクトル(b)と転位線が平行な結晶欠陥であり、原子面が転位線の周りでらせん状に配置することから、らせん転位と呼ばれる。六方晶型の結晶の場合、c面を貫通するらせん転位のことを貫通らせん転位と呼ぶ。転位線の向きはc軸と平行で、バーガースベクトル はb=<0001>となり転位線と平行である。
大きなバーガースベクトルを持つ貫通らせん転位はマイクロパイプとなる。SiC単結晶の4Hポリタイプでは、バーガースベクトルの大きさがc軸方向のunit cellの大きさの3倍以上となるとマイクロパイプ化すると言われている。
SiCには貫通混合転位(b=<0001>+<11-20>/3)も存在するが、貫通らせん転位と貫通混合転位は区別が困難なため、通常それらをまとめて貫通らせん転位と呼ぶ。
(松浪 徹)
- 2017年8月10日
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