SiCに関する技術情報

結晶多形(ポリタイプ)


化学組成は同じでも異なった原子配列を示す結晶を多形(ポリタイプ)という。グラファイト-ダイヤモンドなどのような同素体は単体元素の多形といえる。SiC多形では結晶の二次元的配列(例えば閃亜鉛鉱構造の(111)面)においては結合や配位関係は変わらず、積層方向への組み合わせのみが異なる。SiCの場合、3C-SiCは閃亜鉛鉱構造であるが、電力変換素子としての工業利用が進められている4H-SiCは六方晶で、3C-SiCの<111>方向への積層順序をABCABC…としたとき、ABCBABCB…と積層が変化したものである。SiC結晶多形は200種以上確認されているが、代表的なものには3C、4H、6H、15Rなどがある。積層欠陥も局所的な多形変化と捉えることができる。化学的に大変安定なSiCであってもプロセス中に積層異常は容易に発生し、SiCプロセスの難しさの原因にもなっている。

(三谷武志)