SiCに関する技術情報
サイトコンペティション効果
SiC結晶中におけるキャリア密度は、n型の場合は一般的に窒素(もしくはリン)、p型の場合はアルミニウム(もしくはボロン)を結晶成長中において意図的に添加することにより制御される。この際、窒素はSiC中の炭素格子サイトを、アルミニウムはシリコン格子サイトを置換する。ここで炭素と窒素、もしくはシリコンとアルミニウムがそれぞれの格子サイトにおいて競合する現象をサイトコンペティション効果という。
このような効果を利用して、より広い範囲のキャリア密度制御を可能にすることができる [1]。具体的には、炭素リッチな条件で結晶成長することにより、炭素と競合する窒素は結晶内に取り込まれづらくなり、SiC結晶中の窒素濃度を低くすることができる。その一方でシリコンの割合が低くなることで、アルミニウムが結晶に取り込まれやすくなる。同様に、シリコンリッチな条件下ではアルミニウムが取り込まれづらくなり、窒素が取り込まれやすくなる。
[1] D.J. Larkin, Phys. Stat. Sol. (b), vol.202, no.1, 305, 1997.
(宮澤哲哉)
- 2017年8月10日
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