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第25回電子デバイス界面テクノロジー研究会

筑波大学まとめ

2020年1月30日~2月1日、東レ総合研修センター(静岡県三島市)にて開催。参加者約100名。極薄シリコン酸化膜の形成・評価・信頼性研究会、ゲートスタック研究会を引き継ぐ歴史ある研究会であり、今回は25周年記念となる。様々な材料のデバイス界面物理に関しての議論が行われる研究会であるが、近年はSiC、GaN、Ga2O3、ダイヤモンドなどパワーデバイス材料のMOS界面に関する講演が増加している。

【主な発表】

パワーデバイスに関する主な発表

① 室温での極薄金属膜酸化法による基板酸化を抑制した良質なAl2O3/4H-SiC界面の実現(土井ら,名大)

SiO2/4H-SiC界面における基板酸化物(SiCxOy)が伝導帯付近の界面準位の原因と考え、それを抑制するために、極薄金属酸化法を提案した。Al-Si-C系の熱酸化においては、Alが優先的に酸化されることを期待し、極薄(0.1-0.2 nm)のAlを室温かつin-situプロセスで酸化した。その結果、SiCxOyの形成はXPS検出限界以下にまで抑えられ、Ditを5.4 x 1011 cm-2eV-1まで低減することができた。

② 低温プロセスによる金属/4H-SiCコンタクトのショットキー障壁高さ制御手法の検討(柴山ら,名大)

SiCのオーミックコンタクト形成プロセスは、1000℃程度の高温となり、界面特性劣化が懸念されるため、室温コンタクト実現を目指し、ショットキー障壁高さを制御する手法を検討した。SiC表面に意図的に多量の欠陥を導入し、フェルミレベルピニングを起こすことにより、障壁高さを制御することを考えた。そこで、SiC基板上にRFスパッタリングでSiO2を堆積する際にSiO2/SiC界面に生じるSiCxOyを利用し、その上にメタルを堆積することで、ピニングを生じさせることができることが分かった。挿入する界面層の材料や膜厚によって、障壁高さを制御できるようになることが期待される。

③ ダイヤモンドデバイスとMOS界面の現状(松本ら,金沢大・産総研)

ダイヤモンドMOS界面に関する招待講演。講演者らのグループは、ダイヤモンド表面をOH終端することにより、反転型ダイヤモンドMOSFETを世界で初めて実証した。前処理として熱混酸処理を行い、ダイヤモンド表面をOH終端するために加湿窒素雰囲気で熱処理を行った後、ゲート酸化膜のAl2O3をALDで堆積するというプロセスで素子を作製し、反転動作を確認した。最近は、熱混酸処理の代わりに水素プラズマ処理を行うことで、界面準位密度を1桁程度低減することが可能であることを見出している。現状は、チャネルの可動キャリア数の割合が高くなく、引き続き界面準位密度の低減が必要であることなどの課題が述べられていた。

④ GaNの表面ポテンシャル揺らぎがMOSFETのキャリア移動度に及ぼす影響(田岡ら,名大・産総研)

GaN MOSデバイスにおいては、コンダクタンス法により求められる表面ポテンシャル揺らぎ(σs)の値が極めて大きな値(σs~8)を示すことを講演者らは報告してきた。この講演においては、界面電荷のスクリーニング効果、および大きなσsがチャネル移動度に与える影響を理論的に議論した。Al2O3/GaN界面における界面準位はアクセプタ型であり、十分なスクリーニング効果が得られないことを指摘した。また、σsが大きい場合は、平均移動度が減少し、表面フェルミレベル依存性が小さくなるため、散乱機構の議論の前にσsを低減することが重要であることを指摘した。

⑤ パワーICに向けたn- およびp-チャンネルGaN MOSFETの動作実証(N. H. Trungら,産総研・名大)

GaNを用いたパワーICの実現を目指し、Al2O3/GaNゲートスタックを有するnチャネルおよびpチャネルGaN MOSFETを作製し、絶縁膜堆積後の熱処理の効果を調べた。pチャネル素子においては、フェルミレベルピニングが顕著であったが、700度の熱処理を行うことで、ピニングの原因となっていたトラップを低減できることを見出した。オン電流はnチャネルのものよりも2桁程度低いが、pチャネルGaN MOSFETの動作が確認された。

⑥ その他パワーデバイス関連の講演
  • SiC pチャネルMOSFETの正孔輸送機構の解析(岡本ら,筑波大・産総研)
  • The Role of Oxygen Ambient Anneal for Ba-incorporated SiO2/SiC Interface(寺尾ら,富士電機・阪大・筑波大)
  • SiC C面上熱酸化膜の密度分布(飯岡ら,筑波大)
  • SiC上熱酸化膜におけるエッチングレートの三次元分布(小池ら,筑波大)
  • Al2O3/β-Ga2O3スタック構造のPMA効果と界面特性の関係(廣瀬ら,芝浦工大・NIMS)
  • GaN/HfSiOxキャパシタの電気特性に対するHfSiOx絶縁膜の膜厚依存性(前田ら,芝浦工大・NIMS・名大)
  • GaN薄膜におけるらせん転位およびMg不純物と電子物性の相関:第一原理計算に基づく理論解析(中野ら,名大・学習院大・九大)
  • XPSによるSi系材料の複素誘電関数・光学定数の評価(大田ら,名大)