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国内外のニュース/情報

平成24年度SiCアライアンス講演会概要報告

開催日時:平成25年3月6日
開催場所:日本消防会館 大会議室
(報告者:事務局 渡井久男)

 

  1. SiCアライアンスの活動報告

    (1) 松波弘之会長挨拶
    Siのバイポーラすら現われていなかった時代、Ge半導体では、温度特性に問題があり、まだ研磨材や耐火煉瓦材としてしか使われていなかったワイドバンドギャップ半導体SiCに注目し、その時代の自由度があった大学の校費枠で研究を始めた。紆余曲折があったが、6H-SiCのステップ制御エピタキシー技術を見出した。その頃Cree社が基板を開発をしており、シーメンス社がパワーデバイスを開発するとのことで、国家プロジェクトで研究開発をしないと遅れをとると認識された。
    現在は三つの国プロが実施されており、キャッチアップを終え、国としては世界の先頭を走っているように思う。
    現在、各プロジェクト間の横糸を紡ぐこと、要素技術開発への若手研究者の参入、出口(応用)からの技術の牽引が必要である。
    SiCがパワー半導体として市民権を得た、このタイミングを活かすべく、SiCアライアンスの活動をやっていきたい。

    (2) 企画委員会の活動報告
    豊田企画委員長より、(1)国プロと連携した活動 (2)標準化団体との連携 (3)欧州の150mm径SiCウェハ標準化の動きへの対応 (3)SiCウェハ提供事業など全体概要を報告。
    続いて、戸田第2WGリーダ(政策提言)より、「政策提言」の活動について報告、説明を行った。

    (3) 広報委員会の活動報告
    荒井広報委員長より、SiCアライアンスのWebサイトを投影しながら、研究現場訪問、技術用語解説、国際会議報告、などの広報活動を紹介した。
    続いて、大谷委員(SiC関連研究情報WGリーダ)より、「サイエンス&データ」の頁の紹介と今後の充実化について報告、紹介が行われた。


  2. 『パワー半導体動向レポート』(講師=日経BP社/編集者 根津 禎)
    最近の技術開発の状況、実証試行の状況など公表された記事、取材による情報に基づいて講演

    <1>SiC技術の最近(2012年)の動向
    (1) 一番大きなトピックスとして、三菱電機の地下鉄へのSiC-SBD搭載、実証があった。
    (2) EV走行システム(安川電機);QMETの中で、あまり大きく宣伝されていなかったが、高温対応技術として、村田製作所の積層セラミック・コンデンサ(計5個)の搭載があった。EV走行システムとしては、三菱電機のインバータとモータを同軸上に一体化した出力70kWクラスのEV用モータシステムがある。
    (3) デバイスの状況が好転してきており、プレーヤーが増加してきている。
    (4) 2012年のデバイスのトピックスはまずロームの活動が挙げられる。ロームは価格が現Si-IGBTモジュールの3~5倍なら、対応可能と考えており、月産数千個のモジュール生産能力を持っている。ボディ・ダイオード搭載のMOSFETを製品化;定格1200V/180A。2014年の売上は、160億円と見込んでいる。
    (5) 2013年、フェアチャイルド社はSiC-BJT(オン抵抗:17mΩで最小)でがんばるとのこと。増幅率は70で量産。R&D成果としては100を超えるものを発表。
    始めは、ディスクリートであるが、来年からIC化を考えて行く。高速スイッティングが特長であるが、むしろマイコンの方の処理が追いつかないという話もある。
    (6) 新しいタイプのリアクトルが続々登場してきている。 三菱マテリアル、住友電工(以上、圧粉コア)、アルプス・グリーンデバイス(リカロイ;安川電機と共同で100kHzに適用)
    マイコンメーカーはこれから対応していくところである。
    (7) SiCの今後の注目ポイントは、「電力インフラ」、「趣味性の強いもの」であろうか。 SiCウェハの品質向上については、FUPETが開発しているRAF法による結晶成長により結晶欠陥密度が3000個/cm2が実現されている。

    <2>GaNについて
    (1) 安川電機がパワコンに採用
    (2) 200Vまで、ノーマリーオフに拘る(EPC社)
    (3) 耐圧600VのGaNパワー素子の開発に取り組む主な会社は、IR社、EPC社、富士通セミコンダクター、パナソニック、Transphorm社
    (4) GaN on Si:6インチ口径は、次に8インチへ口径を開発
    (5) IR社は、12mm角超小型インバータチップを開発(30~200W級のモータ駆動に向け耐圧500V品で、最大電流は4A
    (6) GaN on Siはノーマリーオフ化へ ⇔ 耐圧600Vが出せるようになった。ノーマリーオフ化は、カスコード式で実現できる。
    (7) GaN基板(homoエピ)のLEDからパワーデバイスへの動きあり。
    口径も2インチから、4インチ開発へ。 レーザー関係は現在、住電が独占し、三菱化学が追走している。 製法として、HPV法は有力視されている。
    <3>酸化ガリウムについて
     新ワイドバンドギャップ半導体材料として、酸化ガリウムが登場
    <4>Siデバイスについて
     SiはSuper Junctionで伸びしろがある。耐600V品でルネサス、インフィニオン社が300mmウェハでCool MOSを製造


  3. 『パワー半導体が世界ステージに躍り出る~最先端IGBTは日本勢圧勝でSiCなどで先行~』
     講師=産業タイムズ(株)/社長 泉谷 渉 氏 講演メモ

    (1) 2010年~2012年の世界の半導体市場は、-3~-4%のマイナス成長である。2005年まで50年間、12%/年で半導体市場は成長してきた。06年以降から伸びてない。2017年から半導体はまた大きく伸びると考えられる。
    一番伸びるのは医療分野の関係、次が次世代EV、3番目が次世代エネルギーと考えられる。 IT分野は、購入可能なレベルの所得を持つ層が増えない限りは、9割のIT応用が成熟し、一杯の需要状況。ITのカリスマ的成長神話は終わり、日本の出る幕は無いと考える。
    (2) 世の中が今一番関心があるのは、シェールガス。
    (3) 車需要は止まらない。未だ普及途上で、将来500兆円は楽々行くであろう。また半導体需要も止まっていない。三つのアプリ<医療、次世代EV、次世代エネルギー>で40兆円までは行く。
    (4) 医療は例えば、カプセル内視鏡は1兆円まで行くであろう。CMOSセンサ、LEDなど70%は半導体が占める。CMOSセンサーの技術はイスラエルのギブンとオリンパス、磁気薄膜技術はソニーが持っているものが重要。
    (5) 市場規模はTFT液晶が25兆円、太陽電池が5兆円、次が医療関係である。
    (6) 環境エネルギー分野ではシェールガス、LNGはとんでもなく大きな市場規模である。
    (7) 2012~2013年は20年ぶりのパワーデバイス半導体のマイナス成長である。
    (8) 2015年、パワーデバイスは200億ドルとなり、NANDフラッシュを抜く売上げになると予想される。パワーデバイスの普及には知識の啓蒙も必要。
    (9) シェールガスは米国の逆転満塁ホームランであり、知財もすべて固めている。再び製造業が復活し、世界最強国へ。2013年には日本にとって、再び米国が最大の輸出国になる。
    シェールガスの関係で、EVがトーンダウンしている。シェールガスは6円/kWhで安価である。またシェールガスから石油化学も伸びる。EVは大きく後退し(Plug-in Hybridは別)、その替わり、燃料電池車の実用化が始まる。
    シェールガスはロシア、中国を除いても400年分在ると考えられる。かつCO2を出す割合が少なく、クリーンである。Li電池が一番影響を受けていると思われる。電池はPlug-in Hybridでは、EVに比べて容量は1/5であり儲からない。シェールガスは燃料電池車にいい水素ガスが提供でき、800km/ワンチャージ走ることが出来る。
    米国のシェールガスの採掘権の30%は三菱商事など日本の商事会社が持っている。また、採掘には耐高圧のパイプが必要であり、圧力容器とともに日本のメーカがその技術を持っている。
    (10) 半導体製造では、技術でもサムソンに負けている。日本の企業が2ヶ月掛かって造るところ、サムソンは1ヶ月一寸で造ることができる。日本のメーカーは工程中のチェックに時間を掛け過ぎている。
    (11) 太陽電池は63%中国がシェアをもっているが、儲かっていない。
    (12) 太陽光と石炭では、シェールガスには勝てない。
    (13) 風力は太陽光より担う電力は大きく、IGBTを使う。風力発電装置の日本はシェアは小さい。三菱重工ですら、世界12位。
    (14) 地熱発電はどんどんやるべし。国は16年間、地熱発電支援を止めた。やっと今年200億円、国家支援を付けた。日本は、地熱発電を加速すべき時にきている。
    (15) シェールガスの影響で、昭和30年代の重化学工業全盛時代のように、重電系の技術が工場に必要になり、パワエレは重要になるだろう。
    (16) 次世代の車はITの塊で、衝突防止車センサ、監視カメラ、先端C-MOSセンサが重要となろう。
    (17) これからの、航空産業において、航空運賃が安くなることにより、人の移動が盛んになる。現在の40~50兆円市場から300兆円市場になる。日本の封印されていた飛行機製造の開放により、いよいよ飛行機作りに乗り出せる時が来る。
    (18) 最後の日本の切り札は、高機能、高品質、高価格で勝負。5~8年待てば、そういう商売ができる。
    (19) 講師からSiCアライアンスへ提案
    1.産業タイムズのHPを使って、2~3連載をしてはどうか?
     金曜日公開の泉谷コラムは、大変よく読まれている。
    2.「日本半導体ベンチャー協会(JASVA)」(泉谷氏が会長)では、デバイスなどいろいろ部会をやっている。東京、大阪、福岡、名古屋で講演をやっているので、そこでSiCアライアンスからも講演をしてはどうか。