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ICSCRM 2019:International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2019

筑波大学まとめ

2019年9月29日~10月4日@京都国際会議場にて開催。参加者約1000名。そのうち日本人は約50%。発表数396件。企業展示を含めると約1300名と大規模な会議であった。SiC素子は成熟化してきつつあり、素子構造・プロセスを提案するような講演は落ち着きつつある。一方で、MOS界面に起因する低チャネル移動度は、未だ解決できない問題として残っている。

主な発表(デバイス関連を中心)

(1) "Progress is Impossible without Change": Innovation as a Driver of SiC Technological Evolution, J. A. Cooper, Sonrisa Research, Inc. and Purdue University

元パーデュー大のCooper氏が基調講演にて、SiCデバイスの現在の立ち位置と、どのように限界を突破していくかについて講演。現状、SiC MOS界面の問題がまだ残っており、1 mΩcm2を切るSiC MOSFETは現時点でほとんど実現されていないと指摘。チャネル移動度の問題は20年以上研究されているが突破口が見えない。それに対してデザインで改善できる余地も残されているとし、チャネル長、セルピッチ、チャネル幅などを改善するデザインを紹介。トライゲート(FIN)構造を用いてチャネル幅を広げるのも1つの方策である。最後に、”Our revolution is just beginning.”と締めくくった。

(2) N700S Shinkansen traction system adopting SiC device Shinkansen rolling stock and their traction system that continue to evolve, T. Fukushima, Central Japan Railway Company

東海道新幹線の次世代型N700Sに搭載されるSiCインバータについて、JR東海の福島氏による基調講演。講演の前半は1964年の開業から現在までの新幹線の進化について概説。300系のGTOからインバータの採用が始まり、現在のN700AにはIGBTが使用されている。新型のN700SにはSiC素子が用いられており、走行風による空冷によって冷却が可能となる。車両床下のC/Iと呼ばれる機器ユニットが大幅に小型化できた。また、SiCを使えば、大電流、発熱しにくい、高温で使える等のメリットがあるため、従来の4極モーターに代えて、6極モーターの採用が可能となった。

(3) [Mo-1A-02] Effects of Grounding Bottom Oxide Protection Layer in Trench Gate SiC MOSFET by Tilted Al Implantation, Y. Fukui et al., Mitsubishi Electric.

トレンチMOSFETのGrounded BPWをすでに三菱は報告していたが、従来のプロセスでは、高アスペクト比のエッチング、BPW層のメタル埋め込みなどのプロセス上の困難があった。今回、p-type side wall領域を傾斜Alインプラで形成するプロセスを提案。p型サイドウォール層間の幅の設計が重要であり、それの最適化により特性オン抵抗と短絡耐量のトレードオフを改善。特性オン抵抗1.84 mΩcm2、耐圧1560 V。

(4) [Mo-2A-05] Reduction of Interface States in 4H-SiC/SiO2 near both Conduction and Valence Band Edges by High temperature Nitrogen Annealing, K. Tachiki et al., Kyoto Univ.

SiO2/SiC界面の改善方法として、高温窒素アニールの効果を伝導帯側と価電子帯側の双方に対して調べた。高温窒素アニールにより、窒素原子はSiO2膜内に広く分布した。高温窒素アニールは、伝導帯側にはNOアニールほどは効果が高くないが界面準位低減効果がある。一方、価電子帯側には、NOアニール以上に界面準位低減効果があることが分かった。高いチャネル移動度としきい値変動の抑制を両立するプロセスとして期待できる。

(5) [Tu-3A-04] Evidence of a Transition Layer at the SiO2 / 4H-SiC MOS Interface from AC Conductance Data, J. A. Cooper, Sonrisa Research, Inc. and Purdue University

SiC MOS界面の評価に広く用いられてきたACコンダクタンス法の解析において、酸化膜側のトラップを考慮したモデルを用いる必要があるという提案。ゲート電圧と表面ポテンシャルの関係は、伝導帯端に近づくにつれて線形性が失われるため、従来のコンダクタンス法だと、空乏領域のみ正しい評価になっていると指摘。酸化膜側のトラップを考慮したモデルを用いることで、特に、コンダクタンス曲線の低周波側のフィッティングがきれいにできるようになる。このことより、SiO2/SiC界面から酸化膜側に数nm程度の範囲に遷移層的なトラップが存在している可能性を指摘した。

(6) [We-1A-05] Ab initio study on surface structure of 4H-SiC(0-33-8), Y. Matsushita et al., Tokyo Inst. of Tech.

V溝トレンチMOSの面方位として注目を集めている(0-33-8)面に関する理論計算。どのタイプの欠陥が主流なのか、なぜ(0-33-8)面は特性が良いのかについて、第一原理計算を基に議論した。各面方位の表面Si密度を示し、アモルファスSiO2のSi密度は(0-33-8)面の表面のSi密度とほぼ同程度であり、この表面Si密度が界面特性に影響している可能性を示した。

(7) [We-3A-01] Temperature Dependence of Impact Ionization Coefficients in 4H-SiC along <11-20> Direction, D. Stefanakis, Kyoto Univ.

4H-SiCの<11-20>方向のインパクトイオン化係数を、精度良く求めた結果についての報告。これまでに、<11-20>方向のインパクトイオン化係数は畠山らの報告があったが、(11-20)面基板を用いた実験が必要であったため、報告は少なかった。特に、(11-20)面のp型基板が無いため、正孔の増倍率を定めるのが困難であった。そこで、サイドウィンドウから光を入射する手法を採用した。<0001>方向より<11-20>方向のほうが、60%ほどブレークダウン電圧が低くなり、実験結果を説明することができた。高温では電子のインパクトイオン化係数αは増加し、正孔に対するβは減少した。正孔に関してはフォノン散乱により説明できる。この成果により、JTE構造の設計時などにおいて、横方向の絶縁破壊をさらに精度よくシミュレーションできるようになると思われる。

(8) [We-3A-02] Forward Thermionic Field Emission Current and Barrier Height Lowering in Heavily Doped 4H-SiC Schottky Barrier Diodes, M. Hara et al., Kyoto Univ.

高ドーピング濃度の場合のショットキー障壁について、ドナー濃度が19乗程度の高濃度まで、幅広く調査した。ドナー濃度が19乗程度の高濃度になると、鏡像力による障壁の低下が顕著となり、理想因子が大きくなる。TEモデルでは実験結果と大きく異なるフィッティングとなるが、TFEモデルでのフィッティングは濃度を高くしても有効であることが分かった。