SiCに関する技術情報
スナバ回路
スナバ回路は、パワーデバイスに印加される過電圧や過電流などの電気的ストレスを低減し、定格の範囲内に収めるために用いられる。機能としては以下のように大別される。
- ターンオン動作においてパワーデバイスに流れる電流の大きさを制限する。
- ターンオン動作においてパワーデバイスに流れる電流の変化率(di/dt)を制限する。
- ターンオフ動作において,パワーデバイスに印加される電圧の大きさを制限する。
- ターンオフ動作において,パワーデバイスに印加される電圧の変化率(dv/dt)を制限する。
- ターンオンやターンオフの動作においてパワーデバイスの電流と電圧の軌跡(I-V 軌跡)を調整する。
また、スナバ回路の構造は以下のように大別される。
- 抵抗とコンデンサーで構成され、最大電圧やdv/dtを制限する無極性のRCスナバ。
- 抵抗とコンデンサーにダイオードを加え、トランジスタ等の可制御デバイスのターンオフ動作における最大電圧やdv/dtを制限する有極性のRCスナバ。
- 抵抗とリアクトルにダイオードを加え、可制御デバイスのターンオン動作における電圧・電流やdi/dtを制限する有極性のRLスナバ。
この他にも、回生スナバ等のスナバ回路で吸収したエネルギーを電源や負荷で利用する方式もある。
(舟木 剛)
- 2017年8月10日
- 印刷する